2,000円の自己負担だけでふるさと納税ができる寄附金額について、大まかな目安はこちらで書きました。
以下の記事ではできるだけ正確な上限金額を知りたい人のために、詳しい計算方法などをご紹介します。
ふるさと納税の控除は下記の通り3つの段階があります。
① 所得税からの控除
② 住民税からの控除(基本分)
③ 住民税からの控除(特例分)
①と②は、課税される所得金額から差し引く「所得控除」で、③は所得金額に税率を掛けて算出された税額から差し引く「税額控除」です。
①は(寄附金額-2,000円)×(所得税率×1.021)、②は(寄附金額-2,000円)×10%(住民税の税率)、③は(寄附金額-2,000円)×(1-所得税率×1.021-10%)で計算されます。③の式をみると、(寄附金額-2,000円)から①と②の合計を差し引いた金額になっていますね。
それぞれの基準には上限があり、3つの上限から計算される最小の寄附金額が、ふるさと納税の上限になります。それぞれの上限は、下記のように決まります。
ⅰ) 総所得金額等の40%
ⅱ) 総所得金額等の30%
ⅲ) 住民税の所得割額の20%
ⅰ)とⅱ)は「所得控除」なので上限が所得金額で規定され、ⅲ) は「税額控除」なので上限が税額で規定されています。
「総所得金額等」とは、その金額に税率を掛けると税額が算出される「課税所得」です。ⅰ)とⅱ)は同じ基準ですから、総所得金額等の30%が上限です。
「住民税の所得割額」とは、住民税の総所得金額等に住民税率の10%を掛けた税額です。この税額を、ⅱ) で計算される所得の上限に10%の税率を掛けた金額と比較することになります。
しかし所得税率が80%を超えない限り(所得税の最高税率は45%です)、ⅱ)から計算される税額が小さいことはないので、事実上の上限はⅲ) となります。
したがって、ⅲ) の金額が③の金額と一致するところが上限になるので
(住民税の所得割額の20% )=(寄附金額-2,000円)×(1-所得税率×1.021-10%)
となり、この式を変形すると
寄附金額=[(住民税の所得割額)×20%]÷(1-所得税率×1.021-10%)+2,000円(A)
となります。この式(A)を満たす寄附金額が、2,000円の自己負担のみでふるさと納税ができる上限額になります。
(A)の式を計算するためには、住民税の総所得金額等と所得税率を知る必要があります。今年の寄附金額の上限は今年分の総所得金額等がわからないと計算できませんが、これが確定するのは今年末なので、大きく年収や家族構成が変わらない場合は、前年の住民税の総所得金額等を代用するといいでしょう。
前年の住民税の総所得金額等は、住民税の税額決定通知書にある課税標準額(課税所得金額)、総所得などと記載されている金額です。会社員の方なら5月頃に勤務先から交付される(住民)特別徴収税額決定通知書を、自営業などご自分で住民税を納付されている方は(住民税)税額決定通知書をご覧下さい。
所得税の税率は、所得金額に応じて下記の表のとおりになります。
所得金額 | 所得税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超 330万円以下 | 10% |
330万円超 695万円以下 | 20% |
695万円超 900万円以下 | 23% |
900万円超 1,800万円以下 | 33% |
1,800万年超 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
出典:国税庁 28年4月1日現在
前年の所得金額は、会社員の方なら源泉徴収票の(給与所得控除後の金額)から(所得控除の額の合計額)を差し引いた金額、確定申告をされた方なら申告書の(課税される所得金額)の金額です。
上記で計算される上限を超えない金額で寄附した場合でも、自己負担額が2,000円を超えてしまうことがあります。所得金額が上記の所得税率の表で税率が上がる境界のちょっとだけ上にある方、住宅ローン控除を受けている方、寄附先の自治体からいただく御礼の品の評価額(一時所得として計上する必要があります)と他の一時所得の合計が50万円を超える可能性のある方は、そうなることがあります。
気になる方は、こちらの記事の後段もご一読下さい。