ふるさと納税 仕組み

2016年から「ふるさと納税」がたいへん盛り上がりました。それまで利用していなかった人でも、2016年からはじめたという人は少なくなかったのではないでしょうか。

ふるさと納税の仕組みは、やればやるほどおトクになるようにできています。

名前に「税」の字が入っていますが、この制度は税金ではなく自分が選んだ好きな自治体への寄附です。そして寄附をすると実質2千円の負担で、寄附金額の何割もの価値がある「御礼の品」をいただけます。

寄附金が3万円の人は3万円に対する御礼の品を、寄附金が10万円の人なら10万円に対する御礼の品を、わずか2千円でいただけるということなのですね。

ではなぜ、たった2千円の負担で済むのでしょうか?

たとえば、3万円のふるさと納税をする人のケースでその仕組みをみてみましょう。

ふるさと納税で3万円の寄附をすると、その年の所得税と翌年の住民税から合わせて2万8千円の控除を受けることができます(図1)。「控除」という言葉は耳慣れない人もおられると思いますが、税金に関係してよく使われる「差し引く」という意味の言葉です。控除される分は、税金の支払いが減ることになるのです。税金が減ることを、減税効果と表現することもあります。

図1.3万円の寄附をする人の納税額

図1

最初の年に3万円の寄附(ふるさと納税)をした人が、控除を受ける翌年も続けて同額の寄附をすると、控除額との差し引きで2千円だけ多くの税金を支払うことになります。この寄附をさらにその翌年以降も続けると、この人は毎年2千円だけ多く払うことになります。これを3年目まで表示したものが、図2です。

図2.3万円の寄附を続ける人の納税額

図2

この人がふるさと納税をしない場合は、納める税額は図3のようになります。説明を簡単にするために、税額は毎年同じだということにします。

図3.ふるさと納税をしない人の納税額

図3

ふるさと納税をすると、ふるさと納税しない場合とくらべて1年目に3万円、2年目以降は毎年2千円、税負担が多くなります。このままだと、単に3年で3万4千円多くの負担をしただけになりますね。

これだと2千円だけの自己負担にはならない、と思われる人もいるかもしれません。そこで別の説明の仕方をしてみます。

寄附金は、翌年2千円だけ差し引いた金額が所得税・住民税の控除というカタチで返ってきますが、ふるさと納税を止めたら、その年は税額控除だけが残ります。つまり最初の年に多く負担した税額は、最後の寄附の翌年に戻ってくることになり、純粋な負担は(ふるさと納税を続けた年数×2千円)だけになります(図4)。

図4.利用者からみたふるさと納税のおトクな仕組み

図4

右側のグラフのように、最後の年の分の控除額を1年目の寄附と合算するとわかりやすくなりますね。3年間寄附を続けた人の実質税負担増額は、4年目に帳尻が合って3年×2千円=6千円になります。

このようにふるさと納税は、毎年2千円だけ多く税負担をして寄附を続けることができます。例では3万円の寄附としましたが、この金額が5万円でも10万円でも、さらにそれ以上だとしても、負担は年数×2千円です。年2千円だけ負担すると、寄附先の市区町村から寄附の回数分に応じて「御礼の品」を受けとることができます(お返しを受け取らないという選択もできます)。この御礼の品は、ふつうに買うと寄附金額の何割もの価格になるものです。

ユニセフや震災などのたびに設けられる災害基金、学校などに寄附する場合は、ふるさと納税と同じように寄附金控除を受けることはできますが、御礼の品をいただけることはありません。ここがふつうの寄附金と違うところです。

寄附はいくつの自治体にしてもかまいません。寄附金額には収入や家族構成などによって限度額がありますが、その範囲内ならば、寄附額は2千円を除いて翌年に戻ってきます。そして、3万円の寄附よりも10万円の寄附の方が、高価なもしくは多くの御礼の品をいただけることになるでしょう。だからふるさと納税は、やればやるほどおトクなのです!!

でも2015年まで、このことはあまり知られていませんでした。その上、ふるさと納税をすると確定申告をしなければならないので、会社勤めでふだん確定申告をしていない人にとっては、面倒くさいというイメージが強かったと思います。

そこで国は2015年4月から利用できる限度額を2倍に引き上げたり、確定申告をしないで済む「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を設けたりして、この仕組みのプロモーションに力を入れました。2016年にふるさと納税が注目されたのは、国がこの制度のPRを積極的に行ったことが大きな理由でしょう。

ふるさと納税のもともとの趣旨は、住んでいる場所にかかわらず、自分の人生でお世話になった土地や、何かの理由で応援したい地域の自治体の財政を助けられるというものでした。でも、大きく注目されて人気を集めた理由は、おトクな制度という面が大きかったと思います。

御礼の品は地域によってさまざまですが、土地土地の名産品、美味しい食材だったり、その地域に工場がある家電メーカーの電化製品だったり、旅行券や金券、ブランド品もありました。2016年は1万円の寄附に対して、ふつうにお金を払えば7、8千円もするような品をお返しする自治体もあったようです。

僕自身もお取り寄せスイーツや地域の逸品を楽しむために、通販感覚でふるさと納税を使いました。家族みんなで集まって食事したり、ちょっとしたハレの日のイベントにもなりました。

でも、あたかも通販のような利用の仕方には賛否両論があるでしょう。僕の知るかぎりでも東京の町田市や世田谷区では、ふるさと納税に関わる住民税の控除が巨額になって支障があった、と市長や区長が苦言を呈しています。一方で、ふるさと納税のお陰で財政が改善して、行政で必要な住民サービスが提供できるようになった過疎地域の自治体もあります。

2017年は、ふるさと納税でしわ寄せを被った自治体に配慮して、御礼の品の価値を寄附金の30%以内に抑えるということになるようです。金券のような換金できるものは御礼の品にしない、という方針も決まったようです。それでも1万円の寄附で最高3千円相当のお品をいただけるのなら、2千円の負担をしてもお釣りがくるわけですから、ふるさと納税は魅力的ですね~

CMでお馴染みのふるさと納税サイト【さとふる】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする